先日ブログにも書きましたけど、新聞社に取材を受けた時に。と言いますか、その時に限らずよく聞かれることがあります。
「金港堂さんのこだわりは?」
って。
最近はすぐに答えられるようになったのです。
「こだわりが無いことがこだわりです」
こだわりを持たない、こだわりを持つのはお客様。お客様がこだわって希望されたシャツをお作りする。もちろん技術的に無理なものは作れませんが、こっちがこだわりを持つとお客様のご要望に応えられなくなる。ただし、できないものはできませんよ。でも、できるならば作ってあげたい。
衿の長さ5ミリでも、お客様によっては長い方が良いとか短い方が良いとか希望もあります。
だから無茶苦茶しんどいです。
「こだわり」や「スタイル」を持ったシャツ屋さんもいらっしゃいます。うちはこんなシャツしか作れない。それが嫌だったら帰ってくれ!みたいな。
確かに、こだわりがあり、細部にも細かな技術を使って納期も長く、金額も高く取っているシャツ屋さんはあります。多分そういうシャツ屋さんは長く続くのだと思うのですが。
例えば当店はボタンは白蝶貝がオプションなんです。貝ボタンでもいろいろあって、貝ボタン使ってますというシャツでも、多くの場合「高瀬貝」と言って、ボタンの裏を見ると白くなってたり、赤いものが見えたりするのですが、当店で扱っている貝ボタンはオーストラリア産の白蝶貝なんです。
以前になかなか取れなくって、インドネシア産の白蝶貝も扱ったことがありますが、やはりオーストラリア産の白蝶貝の方が白い。高瀬貝に比べると価格は10倍以上。
しかし、「私はプラスチックのボタンでいいよ」というお客様もいらっしゃいます。そこはお客様がチョイスすべきところだと思うのです。
「うちは蝶貝ボタンしか使わねえよ!」というお店もあると思うのですが、ベースはフラットにして、チョイスできるものはチョイスできるようにしています。
ですから「こだわりが無いのがこだわり」です。
取材でも「どんな気持ちでシャツを作ってますか?」と聞かれることもあります。先日もNHKの朝ドラのシャツを「どんな気持ちで作ったか?」と聞かれました。
どんな気持ちもなにも、お客様から「良かったよ」と言われたら「ホッと」するだけです。もちろん嬉しい気持ちはありますが、それよりも「安心した」という気持ちの方が強い。
だから、こだわりを持たずにシャツを作るのは無茶苦茶しんどいことなんです。
NO-21 オックスフォード ネイビー(紺) 綿100% 100番手双糸 お仕立て上がり¥19,250-(税込)
お客様のこだわりでお作りできればと思います。

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